術後一日目

ここから暫くはびろーな話も出てきます。
苦手な方、お食事中の方はご遠慮ください。


夜の間は酸素やら尿管やらで身動き取れず。
麻酔の影響とか強い痛み止めとかでうとうと覚醒の繰り返し。


朝。10時。リハビリの先生が来る。酸素を抜いて起き上がる。
立ち上がる。廊下に出て歩く。
その後尿管も抜かれ「トイレに行ってくださいね」。


行きたくなったら行くだろうと寝転がっていたら
3時。看護師が来て「まだ行ってない?」と訊く。「はい」
「ううん 4時になったら 行きたくなくても行こう」「はい」
予定通り4時ごろトイレには行くものの、その後に入れ始めた止血剤のせいか
気持ちが悪くなる。吐くには至らないが吐きそうな気分である。
看護師は「歩こうか」と言うが、動けない。
暫くうとうとしたら治った。治ったが、その日はそのまま終わってしまった。


夜(準夜勤か)の看護師がお腹に聴診器をあて
「ゆっくりゆっくりだね」と皮肉っぽく言った。
ああ 回復遅れてるんだと思う。午前中のリハビリは調子よかったんだけどなあ。


痛みは平均より軽かったと思う。
一番の問題は(紙面的にも問題なのは)便もれである。
腸の手術だからなのか、お尻にも管が刺さっていて、そこから内容物が洩れる。
勿論手術前に空にしている(筈だ)。それでも何やら漏れ出てくる。
当初茶色ぽかったそれは、この翌日あたりから緑になり量も増える。


お尻にガーゼと漏れ防止シートが貼り付けてあったが、
自分でトイレに行くとなると、その処置が出来ない。
日勤の看護師に「どうしたら?」と訊くと、
「回数が少ないなら そのつど看護師を呼んでもいいと思うけど」
けどって。少ないかどうかなんて分からない。深夜勤に呼べるか?
「とりあえず ガーゼ当てておけばいいんじゃない」とガーゼを置いていく。
洩れ防止シートはない。


「夜中 トイレに行く時はこのコード二本抜いてね」
点滴台を差して言う。自力でトイレに行くのがやっとだと言うのに、
そのたびコードを二本抜き、点滴台を引っ張ってぐるっとベッドを回り、
トイレから戻ってまたコードを差す。無理だろ!
個室である。ベッドの右側にトイレがある。
ベッドの右側に点滴台があれば、コードと点滴の管を伸ばせば、
そのままトイレに行けるのに、点滴台は左側にある。
「右に移動しておいてください」
てか、私が言わんでも分かるだろ? 
看護師は言われて気づいたように点滴台を移動させ、コードを差し直した。
「で よし」


よくねえよ。
「トイレのドアを半分椅子が塞いでます。どかしておいて貰えませんか」
てか、私が言わんでも分かるだろ?
この状態でどうやって、その横の狭いところ通り抜けるんだよ。
できることは自分でというのは分かるけど、できないことはできないんだよ。
できなかったらやる気も失せるだろうが!


床頭台を動かして、その横に椅子を押し込む。
身軽な看護師をして両手を使わないとできない作業である。
頼んでおかなかったらどういうことになっていたか!


そしてまた夜が始まる。


点滴と管二本に繋がれて、痛みもあって、もとより寝返りなど打てないが、
いつお尻から洩れるか分からないということで身動きもできない。
長い夜。