術後二日目

朝方洩れた。
何がと改めて書くならば、お尻から腸の内容物が。
ガーゼなど通り抜け、下着を汚し衣類を汚しシーツに至る。


着替えは自分で出したが、シーツはどうしようもない。看護師を呼ぶ。
毎回これじゃ自分も嫌だし看護師も困るだろう。
途方に暮れてその時の看護師に「どうしよう」と訴えた。
一応生理用パットは持参しているが、間に合うサイズじゃない。
看護師は暫し考えた後、場を外し、尿取りパットを持って戻って来た。
「これを二枚貸してあげるから」
この「貸す」の意味がこの時はよく分からなかった。
(この件に関しては別記事で)
「使えそうだと思ったら売店で買ってきてね」
手に取って「使える」と判断した私は、その場で詳しく訊いた。
看護師は「売店だと割高だし種類もないけれど」と言ったが、
一択で構わないし、最悪の状況から救われるなら金額など関係ない。
朝一番で売店に行くことにする。


術後二日目。点滴台を転がして売店に行く。
五個入りをふたつ買う。400円弱。400円で安心が得られるなら安いものだ。


リハビリの先生が来る。病棟を出て歩く。戻る。
聴診器をあてた看護師は「いい音だね」と言った。
だがその後、止血剤の点滴が始まるとまた調子が悪くなる。寝る。
寝ればよくなるのだからいいだろう。一時間ぐらいのものだ。


だがしかし。
「これがダメなんだよね」と看護師がフェンタニルの容器を指さした。
それじたい吐き気などの副作用がある。だが私の場合単独では出ない。
なぜか止血剤と同時投与の時だけだ。フェンタニル(だけ)に罪はない。
それをその看護師は抜いてしまった(らしい)。
フェンタニルとは術後の激しい疼痛に対して投与される。


「ダメ」は聞いたが、まさかばっさり切られているとは知らなかった。
「痛み止めが入ってる」「痛いのは二日目まで」「あとは段々楽になる」
暗示が効いたのか、体質か分からないけれど、
その後、痛み止めを追加することなく、トイレに行き自主的歩行もしリハビリもした。


尿取りパットのおかげである。
痛いのは我慢できるが、便もれは相当な痛手だったようである。
パットを当てても出るものは出るが、それは仕方のないことで、
下着やシーツを汚さなければ自尊心は砕けない。


後日看護師たちに「一回も追加してない!」と驚かれたし
実習生(フェンタニルが抜かれるのを見ていた)には「我慢強いんですね」と
同情的に言われた。
我慢はしてない。してないが、便もれに関しては、ほんっと!しんどかった。
尿取りパットを「貸して」くれた看護師には心底感謝である。
本当なら日勤であった「担当」看護師が手配するべきことだったと思う。
フェンタニルを抜くぐらいなら、それくらいしてもいいんじゃ?


夕方、追加で尿取りパットを買いに行く。
もはや「御守り」である。