入院セットレンタル

中断して、病棟に入るレンタル業者の説明をば。


以前は病院からの病衣貸し出しがあった。一日40円とか。
四年前の義父の入院の際、それを利用しようとしたら、
既に業者が入っていて病衣にあれやこれやついての値段だった。


今回もあった。病衣+タオル+その他消耗品(シャンプーなど)で
一日500円である。義父の時も今回も「高い」と思った。
看護師は「高いけど 便利だから」と言った。
手術の場合「寝間着(和式)」を用意しろと言われるが、着るのは一日。
寝間着など購入しても使い道もなく、家に置いておくのも嫌だし。
二日間だけレンタルして即解約すればいい。寝間着を買うより安い。


手術前日に手続きを済ませる。手術後、寝間着を着せられて病室に戻る。
手術翌日、歩行練習の後尿管を抜いて、清拭。ここで着替えるのだが、
寝間着から持参のパジャマにするつもりを、急遽、
「甚平型に変更してレンタルを継続」することに決めた。
この時は単に、持参のパジャマを素肌に直接着るのは着心地悪そう、
というだけのことだった。いつもはTシャツと重ねて着る。


この咄嗟の判断に後々救われ、結局一週間レンタルすることとなる。
3500円の出費だが惜しくはない。レンタル業者には感謝感謝である。


パンフレットには「病衣の交換は週2~3」とあったが、
実際には病衣は病棟に用意してあり、病室にもセットされ、
いつでも汚れた時に着替えられるようになっていた。
着替えの後は廊下にあるボックスに入れておけばいい。
新しいものは業者か看護師が補充してくれる。


いつ汚すか分からないという状況において、この処遇はとても助かる。
レンタルは病衣だけでなくバスタオルとタオル(一日一枚)もある。
タオルは充分に用意していったが、それでも洗わなくていいのは楽でいい。


コインランドリーを使っても400円。一日500円は高くない。
私は断ったが、これ以外に入浴・歯磨きセットが受け取れるし、
なくなれば追加もできる。


さて。
この業者のサービスには他に「おむつセット」もある。
テープ式・パンツ式のおむつに尿取りパットなどがセットになっている。
これも基本的には枚数は決まっているが、病棟にストックされている。


看護師が私に「貸してあげる」と言ったのは、これのことだと思う。
これもやはり看護師の采配なのであろう。
他の看護師の曰く、「返してもらわないと困る」。
困るのだけれど、貸して貰った患者が全員返すとは限らないらしい。
私も意味が分からなくて、どこで返せばいいのかも分からなかった。
幸い請求されたので返すことはできたけれど。


貸しても回収できなかった経験をもつと、躊躇するのかも知れない。
自ら面倒ごとに関わりたくないのかも知れない。
でも私に「貸して」くれた看護師は、それよりも目の前の私の困窮を
優先したわけである。
当たり前といえば当たり前なのかも知れないが、
「外科」の看護師に慣らされた私にはとても嬉しいことなのであった。


看護師に対しては勿論だが、
そういうゆとりを残してくれた業者にも感謝である。
「一日何枚」をパックにして配達、追加は一枚ごとに請求、では
融通の利かせようもないし、
冬だから着替えは週に2回までときっちり区切られたのでは、
患者は安心して過ごせない。


入院パック。一日500円。高くない。
歯磨き・入浴セットも活用できれば、むしろ安いと思う。