前日当日

手術前日。
検査食と下剤と、医師からの説明と、点滴開始。
医師からの説明。前日になって手術詳細が明らかにされる。
開腹覚悟だったのが、腹腔鏡手術だと知る。そこまではいい。
「ロボット支援」
なんだそれは。ダヴィンチ? なんだそれはああ。
所要時間5時間+前後2時間。
私は寝ているだけだが 家人は病院内待機である。長い。
コロナのせいで病室に入れない。どこで時間を潰せとな。


夕方看護師が点滴一式持って来る。
ああ いよいよ縛られるのか。
寝転がって腕を出す。看護師の顔色が変わる。
両腕を何度も見比べ「温めます」とホットパットを取りに行く。
右と左と何度も往復し、いよいよ、右にて挑戦。撃破。
血管を探りながら針を入れるもんだから痛いのなんの。
我慢した甲斐もなく「だめでした」「違う看護師に見てもらいますね」。
呼ばれてきたのは男性看護師。右見て左見て。温めて。
左にて挑戦。撃破。もう一度挑戦。成功。
30分経過していた。
前日から痛みに泣かされるとは。
でも点滴を刺すことができるだけでも幸せと思い、点滴を疎む気持ちは消えた。


手術当日。開始は9時半。起床後ベッドで体の保温に努める。
9時過ぎ家人が病院に到着したが会うこと叶わず。
9時20分、病室を出る。こちらはスタッフルート、家人は一般ルート。
会えたのは手術室前。1分程度の会話。


手術室前控室で病棟看護師と待つ。手術室看護師が来る。中に入る。
ベッドに横たわる。酸素マスク。「段々眠くなりますよ」 ふむ。
「もうひとつ確保して」 点滴ルートかな 刺せるかなと思ったのが最後。


名前を呼ばれる。「終わりましたよ」 おお。曲が流れている。
♪ せんのかーぜーに せんのかーぜになあってー
おい。
スタッフのひとりが「これはいかんだろ…」。いかんわ。


病室に来る。家人と会話。意識が明瞭かどうかの判断材料でもあるのだろう。
家人帰る。
枕元に痰の吸引機が置かれる。自分で吸えと。
一度吸ったあとは(吸えたかどうかも分らん)ティッシュの箱に替わる。無情。


夜が始まる。



入院は原則手術の2日前。週末はさんだので私は4日前。
入院するまで詳細は知らされない。
外来で「手術に関しては病棟で聞いてください」とびしっと言い渡された。
セカンドオピニオンがどうとか書かれていたが、そんな機会はない。
私の場合、時間的余裕もない。もたついている間も進行するのだ。
尤も、性格上選択の余地などない方がいい。だからいいのだけれど。


最大のびっくりは、女医さんだったことである。
外科医って体力要りそうだから、男性イメージだった。
家人は「女医の方が安心」とか言うが、女医の方がシビアだったりするんだよ。



手術なんて所詮当人は寝ているだけ。問題はこれからである。