XELOX療法2クール目 ⑪~⑯

さすがに10日過ぎると楽になる。
楽になったと思った頃にやってくる腸過敏。
副作用でいうところの下痢なんだろう。
症状としては下痢に近いが、少し違う。
温めて休んでいればトイレに行かなくても治まる。
そこでトイレに行けば下痢状態なのだろうが、
数時間持ちこたえれば軟便もしくは芋虫便(言い方……)になる。
真性の下痢ほど切迫していない。腸が出したがるだけ。


かといってずっと湯たんぽをお腹に乗せて寝ているわけにもいかない。
家事をしようと思うと、やはりその前にトイレに、ということになる。
外出先は「清潔な使い勝手のよいトイレ」が確保された場所に限られる。


吐気に比べたらどうということはないが、生活は制約される。


それから解放された頃には、血液の状態が(多分)一番悪くなっている。
うかつに外出できないし、怪我にも気をつけないといかん。


化学療法というのは気が抜ける時はないということである。


と言いながら日々ぐだぐだ過ごしている。
時々不安になるが、「今日のことだけ考えるんだ」と言い聞かせる。
今日がいい日ならいいじゃないか。人生は「今日」の連続だ。
もともと「今日と同じ明日」が好きな人間だ。
明日もぐうたらできるんだよ 自分!


新しい車が届いたら、椅子を買おう。
自分で組み立てるやつだが、箱がでかいので今の車に乗らない。
今ある奴と一緒に配達して貰えばよかったんだが、迷ってやめた。
やっぱり欲しい。「魂がもっていかれる椅子」。楽なのである。
見た目何変哲ない黒い革の椅子なのだが、座ると後頭部から魂が吸い込まれていく。


まだあるかね? 問題はそこだ。