変わり身

まご男である。
8月に子守をした時
出ていく母親(娘)に縋りついて泣いていたくせに
すっかり私に慣れた今
母親がリビングから玄関ホールに出るや、その背後で
仕切りのドアを思いっきりスライドさせるのであった。
ドアの向こうから娘の「薄情者ぉ」という声が聞こえた。
そういう奴である。


しかしそれも母親の自分への愛情に絶対の自信(確信)を
もっているからなんだろう。
母親(の愛)は既に獲得されたものであり、揺らぎはない。
しあわせな奴だ。



私は子どもが苦手である。
自分の子育て中、幼児期に遊んだ記憶はほとんどない。
トランプとかゲームとかできるようになってから である。


それが今や、自分でも「あほやないか」と思うほど
低レベルな遊びを、まご男と繰り広げている。
まご女の時はもうちょっとましなことをやっていた。


こうしてみると、まご女は本当に賢かった。
1歳の頃、おむつを替える際、捕まえにいくのが面倒で
♪おいでおいでおいでおいで(パンダ) 〇〇たん
♪おいでおいでおいでおいで(うさぎ) おむつ
♪おいでおいでおいでおいで(コアラ) はやく
(ぱんだうさぎこあら) 〇〇たん おむつ かえるよ
と歌って暫く待ってみた。
迷うそぶりを見せるまご女に「来ないんだー ふーん」と
寝るふりをして「知らないもんねー」と黙ったら
慌てて駆けてきた。それを捕まえて、おむつを交換した。


そして次からは彼女はその遊び心をちゃんと理解した上で
私が歌っている間はカーテンの陰で踊り
私が寝たふりをしたら寄ってきて、ちょんと突く。
捕まえると嬌声をあげてのけ反る。そのまま仰向けに転がされる。
というパターンを会得した。


あまりにもすんなり習慣化したので、そういうものだと思ったが


「いいもんねー」は普通乳幼児には通用しないのであった。
まご男に試みたら、思いっきり無視されたわ。