入院決まった!

深野

嬉しい嬉しいよお。
本日外科を受診。
「消化器内科の先生から連絡頂いてますよー」
こちらも気さくな医師が迎えてくれた。
顔を見て質問 顔を見て説明。それだけで嬉しいね。


「内科の先生からどういう説明受けてます?」
「ああ しっかり受け止めていらっしゃいますね。
では前向きに治療に向かっていきましょうね!」
「連絡いただいて 手術日 おさえておきました。
そこから逆算して 今後の予定を説明しますね」
「明日の検査 今日に回しますか? また来るの大変でしょう」


すぱぱんぱんとパズルがはまっていくようにカレンダーが埋まる。
ああ 嬉しい。
入院案内貰う。説明受ける。限度額の説明を受けて区役所に回る。
なかなか買えなかった靴(病棟用)だが普段履き(下足)でいいとのこと。
じゃ あとは爪切りぐらいか。あと 箱マスク。
個室の申込もしておいた。さほどに難しくないような口ぶり。
ならばもう何も心配はない。


手術するのは先生だし。ケアするのは看護師さんたちだし。
いうこときいてあっちいってこっち向いて 痛いと駄々こねて(こねるな)。
受け身でいられることの幸せ!


病気なんだよ。病気なんだけど 深刻なんだけど 手術怖いけど
先生を信じて任せてしまえばいいというのは なんて楽なんだ!


あとは入院まで体調を崩さないように気をつけるだけ。
それが面倒だから「早く入院したい!」と言ったら
家人に変な顔された。


暇つぶし 何を持って行こう。
ラジオと古い本とパズルと そうだ 暮らしの手帖買って来よう。
ノートとペン。シャープペンと消しゴムも忘れちゃいかんな。


術後の食事は気になるけれど その前に数日あるから
その間は給食を愉しめる。


わたしは 給食が 好きです。


家人の入院中も せっせと弁当を運び 給食は私が食べたぐらいだ。
給食表を見てはわくわくしてたな。想像したりしてたな。
実物はたいしたことなくても 献立表は豪華に見えるんだよな。


男には分らんだろうな。
お任せでいられるだけでいいんだ 主婦はよ。


自分のために一日を過ごす だけでいいんだ。
おまけに
看護婦(師じゃ気分が出んわ)(セクハラになるのか?)さんに甘えられる。
「痛いですよねー」「頑張ってね」と言われるだけで嬉しい。


変なテンションだな。
とんとんとことが進んだのでハイになってます。
先生ありがとう。

うわさの2リットル からの

深野

自宅で飲む場合は500mlのボトルを貰う。
それを自分で薄めて2リットルにする。
2リットルのペット ボトルを見て「これ2時間で飲むんかい」。
飲める気がしねえ……


だが そこはよく考えられたもので
そういう「味」になってる。
美味しくもないが げろ不味いというわけでもなく
飲んでも喉が潤うわけでも お腹が膨れるわけでもなく
時計を見ながら ちびりちびりやっているうちに減っていく。


心配したほどのことはなく
また前回前々回のように腹痛でのたうつこともなく
淡々と飲んではトイレ またトイレ 飲んでは トイレ
を繰り返しているうちにボトルは空になり
そのうちお腹も空になり
でもって眠くなったので休憩がてら横になり


寝てしまった。
寝ている間トイレを休んだので その分のしわよせは来たが
家を出る時間までには落ち着いた。
ああ よかった。
道中でトイレに行きたくなったらどうしようとそればかり心配していた。


ここをクリアしたら あとはもう楽勝楽勝。


てのは甘かった。
前回内視鏡検査が短く軽かったのは
「奥に入れられなかったから」で
今回「通らないと思ったら通ったよ」とばかりにずんずん奥へ。
姿勢も横向きから仰向きにかわり
何度も襲う痛み。姿勢も段々きつくなり脚がつるんじゃないか。
朦朧となりかけた時
「奥まで行けちゃったんでポリープ切除しときましょうねえ」
「また改めては面倒でしょ」とのお声。
お願いしますと返事する。


その後何か撮影するようで「はい 姿勢変えましょう」と
横向いて 斜め向いて。


長かった。


長かったけど 終わったんだ。終わればもう忘れる。
いつもは鬱陶しいマスクだが 表情が隠れるのは助かる。
イタい顔も見られずに済む。


その後説明。先日のCTの結果も説明。今後の予定。
「明日胃カメラ いけますか?」 「はい」
「心電図と肺活量も今日 ああ 今日はだめだ ポリープとってる。
木曜か金曜 大丈夫ですか」 「はい」
「あとは外科への引き継ぎだな ……外科 混んでるな。
交渉してみるから ちょっと部屋出て待っててください」 「はい」


とんとん予定が埋まっていく。
どこまでもついていきます! な気分になった。
病院通いが始まって一番楽になれた時かも知れん。


普通なら憂鬱な胃カメラも すんなり予約がとれただけで嬉しい。
下部内視鏡のあとじゃ 胃カメラなんざ へでもねえぜ。


てのも甘かった。
10年前と20年前にやった。そんなにつらいと思わなかった。
あの時より進化してるんだから
と気を抜いていたら おえ おえええ げええええ ごふっ
あまりに長いから なにかやばいものがあるんじゃないかと
それだけで痛みは増すは苦しいわ。
涎は仕方ないとしても涙が滲んで流れていく。
「もう 終わりますからね」という看護婦さんの優しい声のあとで
「あ 念のため あ ごめんねー 念のため 〇△をねえ」と先生の声。
再びぐりぐり。


長かった。
長かったけど 終わったんだ。終わればもう忘れる。

お腹すいたなあ

深野

本日自前検査食。
前の時は2000円也の検査食を指示に従って食べた。
とはいえ2回目は「おやつ」は省いた。甘すぎる。
クッキーはそこそこ美味しかったが 飴湯やジュースは要らんやろ。
今回は看護婦さん曰く「検査食はあるけど高いよね。自分で用意しよう」。
渡されたプリントを見ながら
朝 素焼きトーストとりんご
昼 くたくたになるまで煮たきしめん
夕 きしめんの汁にご飯入れて玉子割っておじや
と組み立てた。おやつにもう一度トースト食べるかも知れん。


なぜか今回はやたらおなかがすく。昨日からすいている。
昨日は普通に食べていたのに。
金曜日の夜なんて 空腹で眠れなかった。
明日何を食べようとばかり考えていた。
土曜日になってみたら さほどでもなく
「昼食べ過ぎると夜食べられないから そうすると日曜日さみしい」
とか言って 金曜の夜に膨らませた夢を自分で弾いた。


贅沢は望まない。でも 食べることは好き。


食べられないと思うと飢餓感が増すんだなあ。


連絡事項があって息子にメール。息子は風邪をひいていた。
いつもならひきはじめに差し入れを要求してくるのだが
今回は静かに闘病(笑)していたもよう。明日には復活だそうだ。


息子は遠慮を知っているが 娘は知らんらしい。
アメリカ留学の経験のある娘だが アメリカに行く前からアメリカン。
中学の部活の顧問に「お前はアメリカ人か」と言われた。
アメリカ人に失礼だな。
我が家は全員A型だが 娘は他人様からB型と思われている。
B型の人には悪いけど  つまりそういう性格で A型は太刀打ちできない。


病気のことは息子以上に知っている筈だが 知ってはいても分かっていない。
こちらを思いやれとまでは言わん(てか迷惑)が
自分たちのことは自分たちで完結させるぐらいの覚悟は欲しいぜ。


私は私のことで手一杯になりたい。
それとも「手一杯」にならない方がいいんだろうか。


いやいや。病気が判明した時に「娘を自立させる機会だ」と思ったんだ。
自ら親の立場を放棄しないと ことは進まない。

総合病院 初診

深野

紹介状を携えて総合病院へ。消化器内科。
11時の予約。10時半には受付を済ませ ひたすら待つ。
待つ。待つ。
早く順番が来て欲しいが 前の受診者たちの診察時間が短いのも嫌だ。
初診枠だから きちんと話を聞いて欲しい。


12時も間近という時 やっと呼ばれる。
紹介状とデータに目を通し 短いやりとりの後
「今日 時間ありますか」と訊く。「造影剤いれてCT撮りたいんですが」
「そりゃ 早い方がいいです。時間あります」
「じゃ まず採血 結果見て 造影剤」


採血ぐらいはして貰えるだろうと思っていたが
まさかCTまで! 一週間以内に予約がとれれば御の字と思ってた!
急いで採血窓口に走る。
結果が出るまでに一時間はかかると言われて 売店で弁当を買う。
天気がいいから外で食べよう! マスクも外したい!


外で食べるお弁当は美味しかった。


一時間が二時間になったが 今日検査できるなら文句はない。
本を読んだりぼーっとしたりして待つ。
血液検査の結果は問題なく CT受付に。
「私がいいって言ったって回して」と言ってくれたからかどうか
すぐに「着替えて」「点滴さして」「はい 撮影」。


内科に戻って話を聞く。
詳細は後日。その時に内視鏡で もっと細かく測定しましょう。
腸閉塞が一番怖いから薬も出しましょう。
「整腸剤 のんでます きいてます」と言ったらば
「いやもう 整腸剤でどうにかなるレベルじゃないですよ?」と
呆れたように言われた。
「え でも効いてるんですが 気のせいですか」
「気のせいです」とばっさり。


そうかなあ。どうせ薬出すなら ついでに整腸剤も出してくださいよ。
別にいいですけど。あくまで気休めですからね!


看護婦さんたちがやたら陽気で こっちもテンション合わせる。
とんとんと検査が入ったのが嬉しい。
最初の予約で2週間待たされたから検査も待たされるとばかり。 
生殺しがしんどかった。
一歩ずつでも進んでいるのなら 気は楽になる。


は いいけど。
町医者での内視鏡検査準備は
「前日 検査食」「寝る前に下剤二種」 一晩悶絶
だったが こっちは
「前日 自前検査食」「寝る前に下剤一種」 そして
「こ これが うわさの2リットル……」。


検査当日に 2リットルの下剤を12回に分けて ゆっくり飲む
というアレだ。想像しただけで吐きそうである。
町医者方式がいいんだけどなあ……


いやもう 検査して頂けるなら 文句は言いません。
初診の医師が検査も説明もして下さることだし。
話しやすい いい先生です。


庶民レベルの「いい医師」は腕じゃない。
話ができるかできないか だと思う。
いや 腕もいいに越したことはないけれど。

言葉遊びでしかないんじゃ

深野

気づいた。
楽観的の対象は「死ぬこと」であって「病気」そのものでない。
「今ここで死ぬのも それはそれで意味のあることだし
まあいいんじゃないの」と思うんだが
それはあまり実感的じゃないのかも 知れない。


考えてみれば 病気そのものに関しては まだほとんど分かっていない。
町医者で内視鏡などの検査をして結果悪いもの(医者曰く)が見つかって
紹介状を受け取っただけなのである。
すごく長い時間を病気と過ごした気分になっているが
この町医者の受診からさえ一か月経っていない。


これから検査して方針決めて治療に入るわけで
治療内容も分かっていない。
このご時世ネットでいくらでも調べられるのだろうが やらない。
そもそも最初の「自覚症状」が全くあてにならなかったのである。
中途半端に知るより何も知らない方がいい。良いことも悪いことも。


今は知る必要のないことだけれど
死ぬとしても それは治療の向こうにあるもので
その手前にある闘病への覚悟は まったくない のであると気づいたわけだ。
だから楽観も悲観も湧くわけがない。


悩んだり足掻くのが面倒で飛び越えて「死」を考えてるんだ きっと。


そんなことを考えていたら 戦時中の兵士たちの自決行為が浮かんできた。
死にたくはなかっただろうと思う一方で
一度それを受け容れてしまうと 今度は生き続ける方が苦しくなる
てなことはないだろうか。


死は 逃れようのない現実ではあるが
思念である間は「非日常」である。
その非日常から日常に戻る時は 幸福であると言い切れるのだろうか。



や。やっぱり実感も覚悟もないわ 私。
この先怖いわ。