玉子巻き

息子からメール。「朝飯喰わせて」
「パンがないからご飯だよ」と送ったら、即「玉子巻き!」。


もともとは別に得意でも好きでもない。
弁当を作る以上、必須なだけ。
娘が高校生の時だ。同級生が娘の弁当から玉子巻きを貰い、
「美味しい!」と絶賛したのが始まりだった。
なにが気に入ったのかわからないが、それから毎日、
玉子巻きを作ってふたきれ弁当に入れるようになった。
娘はそのひとつを友人のおかずと交換する。友人は玉子巻きを食べる。
クラス替えまで続いた。


あれこれ工夫して、毎日違う玉子巻きを作る。時々は基本形。
毎日作れば嫌でも上達する。
違う。毎日作ったからじゃなく、毎日楽しんで作ったからだ。
顔も知らない娘の同級生の「喜ぶ顔」を思い浮かべながら、
届けられる感想を待ちながら、心を込めて作ったから、上達した。


褒める、褒められるということはとても大事なことだと実感した。
大人だって褒められたい。


料理好きなわけでも凝り性でもない。材料はシンプル。
玉子+和風だし+砂糖+つゆの素。
こつは「いい玉子焼き器を使う」「油をまめに少量ずつひく」。
玉子焼き器は決して「洗わない」。
そして「落ち着いた心で丁寧に作る」。


半年ほど前だったか。
息子が「おかあさん 進化したね」とか言った。
いやいや もうずっと同じ作り方だよ。工夫も変化も加えてないよ。
あなたに感謝の気持ちが宿ったんじゃないの。


先週は冷蔵庫から卵を出すのも苦痛だった。てかやらなかった。
卵を割ることなんて出来そうにもなかった。
でも今日は玉子巻きをひとりで作れたよ。