実は結婚記念日

であるが
ばたばたと過ぎてしまった。


朝一で美容院に予約を入れておいた。
まではよかったが
直前に娘から電話。
「近くの公園にいるー 家にいる?」


美容院から戻って公園に。
孫ふたりを引き取り、部屋に連れて行く。
「昼ご飯食べさせて 昼寝前に戻すわ」
息抜きさせないと婿さんにしわ寄せがいくかんね。


そこからが戦争。
家人が子守するとはいえ、全く任せることもできない。
ご飯の支度をしながら、まご女の要望を聞いて
食卓も、ふたり同時に食べさせるのは初めてのことで
椅子がない、エプロンがない、食器が足りない。
あれこれ工夫してなんとか設える。


ご飯を炊いて卵を焼いてきゅうりを切って、のりまき。
かぼちゃの煮つけ。ちんげんさいのおひたし。
だがしかし、これでは家人のおかずがない。
冷凍のタンメンがある。ふたつあるから、ひとつを家人に。
残るひとつを三等分…というか


ご飯の量を計り麺の量を計り、合計で140グラムになるように。
これに海苔巻きの具と野菜を合わせれば200グラム弱だろう。
食べたいだけ与えればいいと思うだろうが
それをやると確実に食べ過ぎになる。
勘も鈍ったので計量する方が確実なのである。


まご女とまご男と二歳違いだが、量は同じ。
同じだが、食事の進行具合はまご男の方が早い。
これはいかんときゅうりの切れ端をスタンバイ。


野菜でもなんでも口に入ればいいのだ。こいつらは。
足りないと騒いだらきゅうりを出せばいい。
と思ったが
まご男は皿が空になると、自ら椅子から降りてくれた。やれやれ。


「すなあそびするの」
先日の禁じられた遊び。さすがに禁じることにした。
「砂 だけ ならいいよ」
子どもたちの頃から使っている大型の玩具に
観葉植物用の砂とヨーグルトの空き容器を入れる。
「外には出さないでね」という言いつけを、まご女は守ったが
熱中したまご男には通用しなかった。仕方ない。


ふたりを送り届け、お茶して買い物して帰る。


以前なら「結婚記念日なのに!」と腹を立てたかもしれないが
今は、まごの世話という、かつての当たり前を
当たり前にこなすことが出来たことに感謝する。
半年前には、全然当たり前じゃなかったんだもの。
こんな結婚記念日もいいじゃない?