ああ おいしかった!

フレンチレストランで
隣のテーブルの客が、やたら「ぶっていて」うざかった。
給仕さんに「フランスで食べたより美味しい」と言うのも
うざかった。
給仕さん 喜んでいるようには見えないけど どうなんかなあ
と思いつつ、黙々と食べる。


給仕さん(シェフ夫人でありソムリエである)が
常になく親しく話し掛けて来た。
もしかして彼女も、隣の客に苛立っているのかなと
ずっと前に食べた料理の話を持ち出してみた。
写真も残してあったので見せてみる。
「ああ これ。これぐらいならご家庭でもイケると思いますよ」
とシェフにレシピを訊きにいってくれたりして
必要以上に場を盛り上げて下さる。
やっぱり隣の客が気に入らなかったのね。



フレンチやイタリアンで
何かのはずみで給仕さんとの距離が急に縮まる時がある。
あちらにとってこちらは、たくさんの客の中のひとりに過ぎない
のだけれど
それがちょっと特別な存在になる。
馴れ馴れしくされるのは嫌だけれど、特別扱いは気持ちを擽る。
ここのさじ加減が接客業の難しいところでもあるが
給仕さんの素顔が見えるのも面白かったりする。



ランチに行った。
隣のテーブルとタパスの一品が違う。なぜに?
と考えていたところで、メインが供された。
「前回と同じお料理でしたので 使用する海老を
変えてみました。いいのが入ったんですよ」


そこで気づく。
タパスの一品も、前回とかぶっていた。
それが違うものに差し替えられていたのであった。


まあ嬉しいじゃありませんか。


家人は何も考えず海老を食べていたが(私は鶏だった)、
メニューと違うだけじゃなく、相場も違うんですぜ?


そんなお高い店でもなく
常連というほど通っているわけでもなく。
初めて行った時
さらえるようにきれいに食べ尽くした皿を見て
「ありがとうございます」と言われた。



料理を褒める時、本場とか他店と比較するのは無粋だと思う。