一年 と 握り飯

入院・手術は11月である。
一年というのは「始まり」からである。


入院した総合病院への紹介状を書いて貰った町医者受診。
二度の検査を経て総合病院へ。この過程が昨年の10月。
秋風を感じては「去年の今ごろは」と思う。


これから先も「去年の今日」と思うんだろう。
今朝もふと思い出し、
「痛みは忘れるけど 嫌なことは忘れないもんだ」と感じた。
検査や手術の痛みは思い出せない。
でも入院中の「担当」看護師のいい加減さには相変わらず腹が立つ。
嫌なことを思い出していても仕方ないので
可愛かった看護学生さんたちのことで上書きしていく。
どうしているかな? 看護師一年生は泣くことばかりと聞く。
優等生は優等生なりに壁にぶち当たるだろう。



ひさしぶりに握り飯を作った。
娘宅でまご男の子守をしなくてはならないからだ。
途中で何かを買ってもいいのだが、米が余っている。


若い頃、上手に握れなかった。
入院中の姉に差し入れるため、一口おむすびを作っているうち
自在に握れるようになった。


子育て中、近所の家族と一緒に出かける時など
「Kちゃんは握り飯ね」と頼まれる。
子ども用大人用それぞれきっちりの同一サイズに握れるからである。
「握り具合もいいのよ。崩れないのに口の中でほろりとする」


得意だと思っていた。だがしかし。
娘に「三角すぎて好きじゃない」と言われた。
角がない方が味わいがあると言う。


たかが握り飯。されど。


昨今、ビニール手袋で握ると言う。
私らの頃も、ラップを使うとか、ないわけではなかった。
でも私は手垢も味のうちだと思う。