食の思い出

夏休みが終わって、短縮授業も終わって
子どもが町から消えて平和が戻ったと思ったら
かわりに飲食店におばさんが増えた…


あああ。落とし穴。


自分もその一員だったから何も言えない。
言えないが 店を選ぼうよ。
おしゃべり目的ならファミレスあるよね。
カフェやビストロに
「かわいいー」っておばさんの声が響くのはちょっと…


いかんいかん。あれはかつての我が身。
私など「声が大きい」と連れから何度注意されたか。


娘が男友達と電車に乗る。
教員採用試験の対策講義のため毎週通う電車。
男友達の声が聞きとりにくくて「声が段々小さくなる」と
文句を言ったら「お前のせいだ」と言われたと。
「お前の声が大きいから 小さくさせようとしてるんだ。
そうしたら 普段でも小声になってしまって
彼女からも苦情が出てる」


その親である。


だからして、騒音被害に遭おうとも
来た道来た道と唱えるしかないのである。


しかしそういうおばさんがリピ客になるとも思えず
店側としては静かなる常連(私たちだ)に気を遣う。
それを感じてますます、過去の己れを省みるのであった。


私がママ友ランチの幹事になることはなく
誘われてついて行くばかりで
店の評判も知らないままのことが多かったが
「美味しい!」と思ったことはあまりなかった気がする。


こんななら〇〇ママのご飯を食べたい。
ママ友のひとりに、すっごく料理が上手な人がいて
その人の作ったご飯が食べたいと思うのであった。
ランチに行く頃には、彼女は働いていて、
平日昼間にご飯を作って供するなんて余裕はなくなっていた。


ご飯におよばれしたり、手作りお菓子を貰ったり、
今思えば贅沢にも幸せな時代だった。
あれが私にとっての「おふくろの味」だったのかも知れない。


行きつけの店でのランチも美味しいけれど
家庭の味とはやはり別物なんだろう。