まご女と幼稚園

4月に入園したまご女。
喜んで!とまではいかないが、とりあえず通っている。


私自身、保育園期の楽しい思い出はない。
先生(保母さん)のことしか覚えていない。


娘たちはそこそこ元気に通っていたが
交友関係に全く不安がなかったわけでもない。


まご女は娘以上に難しい性格だと思う。
娘や息子は基本的に人間が好きだった。まご女は違う。
そのまご女が幼稚園で心底楽しく園児たちと交わっているとは
どうしても思えない。
それは彼女の特性だから仕方がないとも思う。
折り合いのつけ方を今のうちに覚えておいて欲しいと願うだけだ。


まご女が子ども特有のくだらないことを言ったりやったりする。
家人は「幼稚園でもやってるのかぁ」と言う。
傍に娘がいるとそのたび「やってないでしょ」と
家人に、ではなく、まご女に、言っている。
それが堪らなく嫌だ。


家人に「できるだけ幼稚園という言葉は使うな」と言う。
幼稚園で何をやったとか何で遊んだとか、彼女が言うまで訊くな。
「幼稚園たのしいか?」なんて論外だ。
『幼稚園で楽しく遊べるのが正しい子どもの在り方』という意識を
彼女に持たせたくない。いや。既に植え付けられているだろう。
忖度幼児なんだから。
「圧力になるんだよ」 分らないのかな?


まご男も結構空気を読む。
ふたりきりでいる時は、すっかり懐いて自然体だ。
と言いつつ、抱っこするたび「おもっ」と言うので
昨日などは本を持って来ても膝に乗らなかった。
それでも何度も声をあげて笑い、遊びにも誘ってくる。
だが。
家人とまご女が帰って来ると、
間合いを読むようになる。
まご女の動向を窺いながら、誰と(或いはひとりで)遊ぶか
今なら誰に何を要求してもいいか、考えている。


言語は殆ど発しないのに、頭だけは回転させている。
だからこちらも、どちらに比重を置いて行動するか、
頭をフル回転させて考える。


孫と遊んで身体が疲れるのは分かるが
神経が疲れるのはどうなんだ。


癒されたくて孫を思い出す時は
まご女1歳の頃の寝つかせの場面だ。
抱っこしての寝かしつけをやめて添い寝に変えてからのこと。
ごろんと転がり、絡んでくるまご女の体温を感じる。
上に乗ったり髪を引っ張ったり唸ったり歌ったり、
一メートル四方の敷物の上からは決して降りず、
まご女は転がりながら、やがて眠りに落ちる。
目を閉じて(寝たふり)その気配を味わう。
一番幸せな時間だった。


まご女にとっても幸せな頃だったんだろうなあ。
幼稚園に少しでも楽しみが見つかるといいなあ。