グランマは負けない

まご女と遊ぶ。
ラトルドッグを並べる。
まご男用に買ったのだがまご女用にも買い足したので二匹いる。
「おはなしするの」
喋るのは私である。
「なにをお喋りしようかなあ」
「むずかしいこと」


まご女は大人の会話をよく聞いている。
その言葉の習得力には侮れないものがある。
1歳半の頃、テーブルに私の分のパンを置こうとしたら
「〇〇たんもチーズトーストたべる」と言われた。
めざといなと思った瞬間
「めざといー!」と先に言われた。


大人が使う言葉を吸収し使いこなすことが楽しいらしい。
私に難しい言葉を使わせて覚えようとしているんだな。


英単語、恐竜の名前、食べ物の名称。
羨ましいほどの暗記力。


婿さん「イグアナドン」
まご女「イグアノドン」
婿さんスマホで調べる。「イグアノドンだ…」
まご女「〇〇たんのかちー」
婿さんムキになる。「違うよ とうたんの勝ちだよ。
とうたんが イグアノドンって言ったんだよ」


普通そこで「ちがうもん 〇〇たんがいったんだもん」となりそうだが
まご女は「じゃ 〇〇たんは なんていったの?」と切り返した。
婿さんは検索中に見かけた「イクラノドン」を咄嗟に口にした。


まご女は「ちがうよ」と言った。「お く ら の どーん!」


記憶力だけじゃなく瞬発力もあるのであった。
婿さん完敗。
私が負ける日も近いのか。いいや。決して負けるまい。


ラトルドッグは言った。「もう処暑も過ぎたのに 暑いねえ」
「暦の上ではとっくに秋なんだけどねえ」


暫し後。
まご女「おしゃべりするの」
「なんのお喋りしようかな」
「かんたんな はなし」
ふっふっふ。勝った!