息子と娘と こぐまと

かくて息子は我が家で朝ご飯を食べ、
生八つ橋二箱(……)を持って娘宅へと向かった。
結果は後日。


持参するのは生八つ橋だけではない。
息子の部屋に保管してあった娘のキャリーケースもである。


息子が行くと伝えたら「車?」と訊く。徒歩10分。
「違う」と言えばいいものをおそらくは「どうして」と訊いたのだろう。
「そっちにあるキャリーケース持ってきて」


かくて息子は肩に生八つ橋(と漬物)を掛け、
キャリーケースを転がさずに持ち上げて(多分)、
泣かれるであろう姪こと甥ごのもとへ歩いて行くのだった。



上高地に旅行した時。
奥飛騨温泉郷のクマ牧場。こぐまと一緒に写真を撮れる。
娘も息子も喜んで「行く」と言った。
娘、社会人。息子、大学生。
だがしかし。
「膝に乗せることが出来るのはひとりだけ」
ここで喧嘩させても仕方ない。
「んじゃ二枚撮ろうか」と提案したらば、
息子「俺 抱っこできなくても触れればいいよ」。
姉が抱っこした小熊の背中をそっと撫でるのであった。



息子は姪こを膝に乗せるのは無理でも、撫でるぐらいは出来ただろうか。