まご男 まだ泣くか

泣くんだなあ。まご女もそうだった。
まご女水泳教室のため、まご男と留守番。
朝、入っていくと、はっとした顔で母親を見て
泣き出した。そして追いかける。
いくら泣いても母は出ていく姉と共に。


しばし玄関ホールに佇むまご男。


しかしここからは少し違う。何が違うか説明は難しい。
彼は窺っている。私を。
私が「遊んでくれる人」ということは分かっている。
でも今、「遊んでくれる」のか否か。
ここで私が名前を呼んで招けば寄って来るであろうが


面倒だからしない。
土間に落っこちる危険がないと分かったからには
放っておくに限る。


でもまあ可哀相だからブロックぐらいは出してやろう。
音を立ててブロックを袋から出すが、
まご男は入って来ない。ならば私が遊ぶ。


全パーツを使ってタワーを作る。
なかなかの出来栄えに達成感。
気分がいいところで「おむつ替えてやろうか」。
すると、まご男、寄って来た。


……臭い。


おむつの始末をしている間に、
まご男はブロックタワーで遊びだした。やがて壊し始める。


その後、ブロックでアルパカのぬいぐるみの車を作り、壊され、
アルパカでおにごっこし、かくれんぼし、お絵描きし。



まご男はまご女より単純だと思っていたが、そうでもない。
意外と「面倒くさい」性格じゃなかろうか。
それとも子どもはみんな「面倒くさい」のか。


言葉が早かったまご女に対し、まご男は話さない。
しかし造形に関してはまご男の方が優れている。


まご男の器用さ、形態把握能力を褒める娘に、
これはいかんとまご女を褒める。
「〇〇たんは歌とおしゃべりがうまかったもんねー」
まご女。「そういうこと いわないのー」
「え?」
「恥ずかしいじゃないですかー」
……はあ。