七五三

まご女は小柄なので満年齢でやる。今年である。


かんざしを買ったと言う。つけ毛も買ったと言う。
かんざしはともかく「つけ毛は美容院で見繕ってくれるのでは?」。
結う形によって変わるんじゃ?
「自分でやる」「着つけは?」「被布にした」
娘の頃は被布を嫌い、着物を選ぶ人が多かったような気がする。
我が家も当然のように着物で選んだ。髪も着付けも美容院に頼んだ。
「なんで被布?」
「三歳でしか着られないんだよ? 可愛いし」
可愛いかなあ。これも流行なのかなあ。


娘は最初、自分も着物を着るつもりだった。
和服など邪魔なだけと何も持たせなかった。
欲しい時に借りるか買えばいい。
我が家のクローゼットに桐の箱と引き出しがある。
みっちり詰まっているが、こやしどころかゴミでしかない。
「訪問着ない?」「ない」 肝心なものはないのである。
前に書いたが、留袖はあれど襦袢はなし(で慌てて仕立てた)。


「訪問着を買ってさ 将来的には袴に合わせようかと」
「袴に合わせて着物を仕立てた方がいいんじゃないの。
七五三なんて親は洋服でいいのよ。スーツなら仕事でも使えるじゃないの」
「えー」
格式がどうのとではなく、ぱえ、目的ではなかろうか。


まごたちはお宮参りをしていない。
つまりまだどこの神社にも正式な挨拶をしていない。
候補の神社も縁もゆかりもない場所にある。
七五三は宗教行事ではなく、イベントに過ぎない。
それも「写真目的」の。


写真。スタジオ撮りとロケーションパターンとあると言う。
なんだそれは。
三歳は自前のカメラで神社で写して引き延ばした。
自然な感じでなかなかよかった。
娘七歳息子五歳の時だけ、スタジオで撮影した。


ちなみにこの「神社」は私たちが結婚式を挙げ
子どもたちのお宮参りを済ませた由緒正しきお宮である。
御祈祷も受けた。


家人のラインに写真が届く。
ひとつ結びとふたつ結びとどっちがいいと思う?
ひとつで結ぶとおねえさんぽい。ふたつだと年齢相応に可愛い。


なんでもいいよ。神さまは顔を見て加護を決めるわけじゃない。