かき氷

息子と焼肉屋に行った帰りだったか、
「かき氷食いてぇ」と言った。
焼肉の後に行くわけにもいかず、
我が家にある筈のかき氷器は娘宅で、
仮にあったとしても専用の器で作った氷が必要で。


かき氷器に関しては、ちょっとした因縁がある。
息子がまだ小中学校の頃、欲しいとうるさかった。
買えば毎日のようにかき氷になる。面倒くさい。
たまにくる孫とわけが違う。
「ばぁちゃんちで喰えばよろしい」


就職して息子が出ていった。
その時になって、急に私が「かき氷器が欲しい」となった。
買う。
怒るかなと思ったが、息子は喜んだ。


かつての娘の居室にエアコンを設置した。
まご女を滞在中、万が一リビングのエアコンが故障したら
と考えてのことである。
娘は感謝するだろうと思ったら、怒った。
「なんで私が住んでいる時につけてくれんかったの!」


そういう姉弟である。


ではなく。
その言葉が頭に残り、かき氷が食べたくなった。
ところがどっこい
行く店行く店休み。最後の手段でカフェ。
昔はカフェでは「フラッペ」だったが
今はどこでも「かき氷」である。
かき氷が現代に市民権を得たのである。


さあ食べようという時、電話が鳴った。
滅多に鳴らない私の携帯。マナーにするのを忘れていた。
娘である。私の前にあるのはかき氷である。
出ずにぶちっと切る。切ってからメールする。
「急ぎ?」
娘はその間も待てず家人に電話する。
家人の前にも当然のことながらかき氷がある。
家人は席を立った。


急ぎの用件ではなかった。
家人の誕生日に何を贈ろうという相談だった。
…それを家人に電話してどうする。


そういう娘である。


その店のかき氷は
言い出しっぺの私より、家人好みの品であった。
後日リベンジする。


火星人。勝利のVサイン?
また枝分かれしてる。こんな伸び方するんだっけ?