ばぁばと呼ばないで

入院前、まご女には私のことを名前で「〇〇たん」と呼ばせていた。
家人たちと会話する時は「ばぁばが」「ばあたんが」だったが
私にはちゃんと「〇〇たん」と呼びかけていた。


ところが!
会わないでいる間、周囲の言う「ばぁば」だけが頭に残り、
「〇〇たん」を忘れてしまった。
ばぁばと言われて「ちゃう。〇〇たん」と言うのだが、聞いてくれない。
このまま定着したら嫌だなあ。


一時期、まご女は私の名称を三種、使い分けていた。
他の家族に伝える時は「ばぁばが」、私に話し掛ける時は「〇〇たん」。
のこるひとつは「わたし」。
この「わたし」を最初理解できなかった。
まご女の一人称だと思ったら、私のことだった。
限られた場面でのみ、使われる。
「おもちゃ かたづけようか」という時だ。
「ボール 取って来て」という時もそうだ。
まご女が「わたし」と言う。「じゃあ お願い」と言うと、
首を振って私を指さす。「えー? わたしぃ?」
そう。この「わたしぃ」である。


大抵の大人は幼児に対して一人称を使わない。
「とうたんがやるの?」とか「かあたんにちょうだい」である。
「わたし」が自分自身を指す言葉とは学習されていない。
まご女の「わたし」は私に向かってのみ使われていたが、消えた。
それはいい。
それはいいけど「〇〇たん」は消されちゃ困る。



娘が「エルマーと竜 覚えてる?」と訊いた。
表紙の画は覚えているが、内容は忘れた。
「急に読みたくなって 原書で買っちゃった」と差し出す。
は? 要らねえし。読まねえし てか 読めねえし。
「簡単だよぉ 中学生程度の語学力で読める」


7歳以上対象のアニマンガだって辞書片手に読んだ。
児童図書だって同じだろう。辞書をひいてまで読む気力ねえよ。



幸福の木の新芽。
南側に置いてあるが、日中カーテンを閉めてしまうので日照不足。
だから成長が遅いのかな? でも着実に育ってる。