一番勤勉なのは

娘宅で久しぶりに婿さんに会う。
私の体調を気遣ってくれるので、大丈夫だよと応え、
「〇〇さんも大変だったでしょう」と言う。
私の入院以降、一番負担が増えたのは婿さんだ。
「いや そんなことは」
「いやいや そんなことあるでしょ」と言いながら
背後に娘の気配を感じる。
「まあ 〇子も頑張ったみたいだからね」
娘が拗ねないようにと言い足した。すると。


「そうだよ! 私 頑張ってるんだからねっ!」
「自分で言うなや」
「だってすごいんだよ! 筋トレも英語の勉強も」
それ、どっちも『自分のため』やろ。
私が言うてんのは「育児」だわ。
婿さんが在宅勤務なのをいいことに、あんた使い倒してるやろ。
だから筋トレだの英語だのやる余裕が出るんだわ。
と出かかるのを抑える。
婿さんのために婿さんを擁護しても
あとで迷惑するのは婿さんである。


親の心子知らず。
娘はスカートのウエストに手を突っ込んで
いかに自分が筋トレで引き締まったか熱弁していた。


婿さんは週の大半を在宅でこなす。
定時の休憩以外に30分単位で申請できるらしい。
娘ひとりで回せることまで婿さんが引き受けている。
研究職とはいえ、
対面での打ち合わせなど参加すべき場面もあるだろうに
極力在宅にして育児家事を担っている。


娘が、やりかけのパズルを持って来た。まご女作である。
二日がかりでやっていると言う。
前夜、もう寝るから駄目だよと言われて諦めたそうである。
「集中力もすごいけど 途中でやめる精神力もすごいね」
娘の幼少期には絶対!ぜーーーったい望めなかったことである。



さあ。この3人。一番勤勉でないのは誰だ!