まご男留守番三日目

私が入っていくと、
娘がまご男に「おむつはどう」と訊いたところだった。
訊きながら、おむつに触って「まだいいね」。
するとまご男はおむつを取りに行き、必死になって
母親に渡そうとする。娘は笑って取り合わない。
半泣きになってまご男はおむつを母親に押しつける。
だが娘はまご女と出て行ってしまった。


泣きじゃくるまご男。
そのまま前日の繰り返しかと思ったが、違った。


玄関ホールに陣取るまでは同じだが、じっとしていない。
こちらを覗いたり、あちこち動いたり。
私は知らない顔をしてリビングでブロックを作り始める。


何やら物音がする。どうも下駄箱の戸を開けているようだ。
「開けていいんだっけ?」
声をかけると泣く。
放っておくと、また戸を開け始める。
「かあたんに訊くよ?」と携帯をいじるふりをする。
泣く。だが下駄箱を触るのはやめた。やっぱり駄目なんだよな。


おむつを確かめに行く。あっちいけの素振り。
おむつだけは譲れんと迫ったら、リビングに逃げ込む形になった。
目に入った玩具に気を取られたようで、弄り出した。
暫く玄関ホールで様子を見ていて、和室に移動する。
姿が見えなければいいのか、まご男はリビングで遊び始めた。


置いてあった自分のマグで水を飲む。
リビングと玄関ホールを行ったり来たり。
私と目が合うとホールに隠れる。
和室に隠れていると、じりじりホールからリビングに出てくる。
床に置いておいた私の鞄に触る。ファスナーを開けようとし、
我に返ったかのように、逃げて行った。


野生動物の観察めいてきた。


前日に比べ、泣く回数はぐんと減った。
そのかわり隠れて悪さをしている。


水泳教室は短期集中4日間。あと一日ある。


どうする まご男。