7ヵ月ぶりのまご女

療法が終わり、後遺症はあるものの倦怠感は消えた。
つまり、言い訳も消えた。


夏休みである。


まご女が来た。とりあえず昼ご飯まで。
昼はうなぎ。まご女の大好物(たいていのものは好物だが)
というのもあるが、
おにぎりや海苔巻きがつくれないからさ。
家人がテイクアウトしてくる。
まご女には白米を足して味を薄める。


以前はうなぎは小さくほぐして与えていたが、
今回は皮だけ外して身をそのままご飯に乗せた。


食べ過ぎるから控えめにしてねと娘に言われ、
子ども茶碗に三杯だけと決める。
三杯目を渡す時「これでおしまいだからね」と伝える。
「よく味わってね」
ひときれめのうなぎを一口で食べたまご女だが、
ふたきれめは喰いちぎって半分にした。
そしてその半分を最後まで残していた。


…じゃなくて。書きたかったのはうなぎの食べ方ではなくて。
まご女の様子である。


家人が車で迎えに行った。
室内に入って来て、暫く床に臥せっている。
我が家に来るのも7ヵ月ぶりである。
場所も忘れたのだろうか。
「慣れるまでそっとしとき」と見守る。
そのうち家人と遊び出す。
時々こちらを見る。笑うと笑う。ふうん。
照れてるだけなのかな? 相変わらずこやつは難しい。


そのうち、うなぎを受け取りに行く時間になる。
家人が行くと言ったら、ついていくと言うかな?
それならそれで行かせればいいと思った。
だが、まご女は家人が「行って来る」と言っても動かなかった。


私と遊び出す。


少しずつ距離を縮めてくる。
触って欲しそうだったから髪の毛を指で梳いてやる。
抱っこしてやればよかったのかも知れないが
なんだか気恥ずかしい。


食後、少し遊んだ後。
所用のある家人が、そのついでに車で送って行った。
「またね」 



夜、考える。
まご女も私も距離をはかっていたのだ。
彼女との間には昔から緊張を感じていた。
乳幼児相手に緊張。まご男の時にはない。まご女だけ。
今回の再会も、その再現だったのだろう。
互いに距離をおいて相手の出方を見る。
「私がいきなり抱っこしてやればよかったのかしら」
「かもな」
家人なら考えるより先に身体が動いて抱っこしていただろう。
彼女は、それが出来ない私の、孫なのである。
仕方ないのかあ…