スペインの思い出

スペインに寄ったのは、友人と行った卒業旅行の時。
マドリッドと迷路のような都市トレド。


スペインに限ったことではないが、
入国の際「目的は?」「滞在日数は?」と訊かれる。
「観光(という英語)」「〇日間(という英語)」
を暗記して唱えながら飛行機を降りる。


自分の番が来た。訊かれるのはどっちだ? 両方か?
「〇〇〇〇?」
なんで違うこと言うの? 分んないよ!
パニックをおこす。
「〇〇〇〇」
え?
「〇〇〇ー?」


かんこー?と彼は言っていた。観光。
「イエスイエスイエス」



スペインの空港からホテルに向かうバスの中(ツアーである)。
「軍関係の施設にカメラを向けないように。人間にも。絶対に!」
市内観光の時のガイドさんにもしつこく言われた。


女四人で(ふたりは旅行中に知り合った)マドリッドの街を歩く。
銃をかついだ軍人さんが!
目を合わせないようにそそくさと通り過ぎようとしたら、
呼び止められた。
えええ なに 何もしてないよ!
「〇〇〇!」
ごめんなさいごめんなさい(理由はない)。通してください。
「〇〇〇」
「フォトって言ってない?」「え?」
軍人さんの身振り手振りを落ち着いて見てみたら。
カメラを指さし自分たちを指さしぐるりと円を描き。


めでたく一緒にカメラに納まりました。
なんなんだ。



観光地としての印象や感動は薄いが、
スペインの人は好きだ。食べ物も。
スペインでは英語はカタカナ発音で通じるし、
お節介好きのスペイン人は一生懸命聞き取ろうとしてくれる。
レストランで「スープどうする?」と友人と話していたら、
その「スープ」に素早く反応して、説明を始めた。


ホテルの自室で電話を使った友人が、翌日支払いをしようと
フロントに向かった。
ちなみに友人は私以上に英語が話せない。
どうするのかなあと見ていたら両手をカウンターに置き、
「てれほん」。
フロントのおじさんは困った顔で、それでもなんとか対応しようと
カウンター内の電話を持ち上げて見せた。
出て行って「らすとないと しーゆーずどてれふぉん」と言った。
すぐに通じた。


その前に訪問したイギリスはロンドンで、タクシーの運ちゃんに
「タワーオブロンドン」を聞き取って貰えなかったことを
根に持っていた私は、それだけで感動した。



フラメンコを見た。
トレドでグレコの画を見た。


あとは覚えていない。