合格通知 娘と息子

教員採用試験の結果が来る。
いまどきだからネットで確認できる。
だが娘は「封書が来るまで見ない」と言う。
「絶対落ちてるから見たくない」
おいおい。
「あんだけ頑張って 落ちると思うわけ?」
「うん」
「あれ以上何を頑張ればいいか分からないと思わない?」
「思わない。まだまだやれることはあるっ」
あるかいっ。
傍で見てる方がしんどいわい。学力テストだけならまだしも。
面接のために留学生の寮に押し掛けて英会話をせびり、
ディスカッションのためにメンバー集めて模擬会議を繰り返し、
バイト以外の時間を全部対策につぎ込んで、
これ以上何をどう頑張ればいいのか私には分らんよ!


でまあ。めでたく合格したわけだ。



息子の大学入試。やはり結果はネットで見える。
発表当日。10時。スマホに受験番号を入れる。
インターホンが鳴る。「簡易書留でーすっ」
スマホ画面が開くより早く、封書の合格通知が届いた。
局員さんはインターホンの前で待機していてくれたんだろうか。


本命発表の日。
息子がスマホを開く。「あれ?」 そこ違うやん。
息子は本命よりレベルの高い(とされている)大学を開いている。
「ここの不合格を確かめてから本命を見る」
不合格への耐性を得てから?という意味?


さっぱり息子が分らん。
と言っているうちにインターホンが鳴る。
「簡易書留でーすっ」
「めでたく合格だよ」と息子のもとに戻ったら
「こっちも受かってる…」。


あてにならない難易度。



受験は嫌だ。受験生の親はもっと嫌だ。
でも試験が終わって合格発表までの間は人生最大のモラトリアム。
人生の続きは結果が出てから。
今はこの自由を満喫しよう。
リビングから勉強道具を追い出す時の解放感、
問題集を紐で縛っていく時の快感ったらなかったわ。


合格通知は勿論嬉しいけれど
人生が再び動き出す気配でもある。
授業料の払い込みに始まって、諸々の手続き。現実が押し寄せる。


今となっては懐かしい。