マンション管理 コンサル会社

ありふれた手口なのに、我がマンションは引っ掛かった。


大規模修繕が終わる。請け負ったコンサル会社が専門委員に言う。
「長期修繕計画表を作成してはどうでしょうか」
40万ほどで引き受けますよ。
大規模修繕を無事終えた委員たちは、すっかりコンサルを信じていた。


前に書いたが、築30年までの大規模修繕なんて外壁塗装など、
足場こそ組むが、難しい工事ではない。
必須でない項目も入れ込めるため仕事としても美味しい。
どこのコンサル会社でもよかった。なくてもよかった。
直接業者依頼でも可能だったんじゃなかろうか。


さて。問題の長期修繕計画表。
きちんと建物調査をして作成するとなると、40万は安すぎる。
公益財団法人に頼んだ際は100万支払っている。


コンサルは改めての調査などしていないのである。
かといって目的は40万を騙し取ることではない。
もっと大きな金を狙っている。


出来上がった長期修繕計画表では、次回大規模修繕時に、
1億近くの赤字が見込まれる。
「修繕積立金を 今のうちに値上げしておくべきです」


はい。これがコンサル会社の常套手段です。
マンション側の財布を可能な限り膨らませておいて、
食い荒らすつもりなのです。


今回のケースでは値上げ(徴収)以外の方法で修繕積立金を増額し、
それを受けてコンサルは「改訂版」を作成した。
見事赤字はほぼ解消されて、委員たちはコンサルに感謝する。


長期修繕計画表の数字は小さい。文字も小さいが、数字はもっと見づらい。
どうせ見込み額なのだから、万単位、いっそ100万単位でもいいのに、
こまこました数字が書かれている。老眼じゃなくても目がしょぼしょぼ。
(老眼の)男どもはどうせ見ていない。見る気を失せさせるように出来てる。
私は電卓と赤鉛筆を手に、ひとつひとつチェックした。


ただの数字のマジックである。工事時期をずらしたり、
工事費用を少しずつ安く見積もり直したり、姑息な手で修正してある。
作成から二年で、工事時期の判定が10年も変わるわけがないし、
建材人件費が値下がりするわけもない。


修繕積立金残高の増額という目的を果たしたのだから、
赤字は要らない。自分への信用にも関わる。
赤字を作るための工作を消し、一見健全な計画表を提示する。
委員どもは平伏する。


次の大規模修繕を待つまでもない。
一億越えの工事が提案される。


前に書いた。必死で阻止した、あれ。
そのせいで「調査」がいい加減であったことが露呈し、墓穴となったが、
そうでなければ無駄な工事に大金を失うところだった。


コンサルを盲信してはいけないという、いい例である。