白雪姫の母

第一稿で、白雪姫の母は実母だった。
改稿を重ねて、継母になった。


けれど。
実母の方が説得力がある。
非現実でもなんでもない。


私の母がそうだったし、友人知人の親にも見受けられる。
程度の差こそあれ、それぞれが毒親で、虐待の加害者である。


主役を子どもに譲れない女親。
子どもから可能性を奪い取る。子どもの才を妬み、芽を摘み取る。
自分に視線を集めたくて、家族の仲を裂く。


肉体を死に至らしめたりはしないが、精神を病ませる毒りんごを
子どもに毎日食べさせる。
毒はゆっくりと回る。毒は消せない。



子どもの数を増やしても、
その子らが病んでいたのでは仕方ない。
その子らが「大人」になれないのでは意味がない。


援けがなければ子どもを育てられないという人たちに子どもを作らせ
まっとうに成育できるほど、今の社会は成熟しているだろうか?


たとえそうであったとしても
「社会」が育てた子どもは、工場生産に思えて仕方ない。


発達心理学の本を何冊か読んだ。
口をそろえて三歳児神話を否定する。
あまりにムキになって否定するから、キモチワルイほどだ。
古い書物に書かれていることが、新しい本には書かれていない。


私は今でも、子どもは親が育てるべきだと思っている。
せめて三歳までは手元に置いて、一対一で向き合うべきだと。


その間に社会から置いていかれるというのなら、
それはそれだけの人間だということだ。


中には、現場に居続けなければならない職種の人もいるだろう。
でもそんな人はごく一部だ。
それを猫も杓子も「社会参加」。


わき役に回ることを封じて、人を親にして。



白雪姫の母が増えるのかな?
白雪姫は城を出ることが出来たけれど
現実では飼い殺し。
親にとって都合のいい「アイテム」となる。
あるいは、それにすら、なれない。
次の世代はどうなるんだろう。