ええな

昨年の卓上カレンダーをうっかり片付け忘れていた。
もう捨てなきゃねと畳みながら
「去年は大変だったねえ」と呟いた。


聞きつけた家人が「そうだな」と言った。
お?
「入院したりとかな。あれ11月だったっけ」
……
「そっちより その前の半年の方がしんどかったんですけど」
「ん? ん ああ …ああ そうだな」


暫し後。
「ええな」
「ん?」
「あんたの脳みそ ええな。嫌なことも直近のしか覚えてないのな。
入院騒動で半年の療法の苦労も消えたんだな」
「おう」
「俺だって半年大変だったんだぞ とか もう忘れたんだな」
「うん」
「ええな」
「うん」



本日。鏡開き。
年々早くなる鏡開き。


パックの鏡餅を「けしからん」とし
生の餅を30日に飾る。
元旦には既にひびが入る。


年々生餅のレベルも落ちるのか
今年の餅は3日朝にして「固くてなんともならん」。
本来、刃物は入れず叩いて割るものだというが
そこはそれ、現代の台所では包丁で切り分けたい。


とりあえず下の餅を、ぜんざいにして食す。



婿さん風邪につき、昨日か今日ちびたちを預かる
という予定だったが、今朝メールしたら「大丈夫そう」とのこと。
本当に婿さんが大丈夫かどうかは分からないが
立ち入るほどのことでなし。薬(プレミアム!)は渡したし。
4日の蟹は無事予約がとれた。少し遅めの時間だけれど。


父親の施設入所~死亡で実家の正月もなくなり
コロナ騒動の延長で家人の一族集合もなくなり
新年を迎える際の憂鬱がなくなった。


午前中家人と散歩がてら買い物に行き
道中「正月らしさが薄れていくなあ」という話をする。
「テレビでアレもないしなあ」


アレというのは「スター新春かくし芸大会」である。
同年配の方はご存じであろう。
駅伝とか興味のない私にとって、あれだけが正月番組だった。


現在の正月準備はおせちの購入先をさがすこと。
おおみそかにひとつ食べ、もうひとつを元旦に皆で食べ


明日お鏡の上を食べ、お昼に息子に蟹を奢ったら、正月は終わり。


食べ物で綴る正月。ええな。