文書と焼きそば

管理組合問題、別件。
提出予定の文書の下書き。
チェックしてくれと言われて家人が読んでいた。
ペンで書きこんで、ぐちゃぐちゃにしてしまった。
「ワードで打とうか?」「頼む」「じゃ 夕食よろしく」
焼きそばである。


この人の文書は以前に何度か直している。
家人の主張を聞き取り理解した上で、修正を加えていく。


「出来たぞ」
食卓に置かれた皿を見て「ソース?」と問う。
味覚障害以降、私は和風だしの粉とカツオ節で焼きそばを食べている。
ソースの味を受け付けない。
「しまった」と家人が慌てる。
見たところ色も薄いので「まあ いけるんじゃね?」と食べてみる。
「うん。大丈夫」


就寝後、直した文書が気になる。
あそこをああして、数字を記号に変えて分かりやすくしよう。
翌朝、朝ご飯を突きながら、文書の話題を家人に振った。
家人はそれなりに応じるが、熱意が感じられない。
そしていきなり「昨日の焼きそば 食べられてよかったな」と言う。
「は? ああ まあ そうね」


仕事のことで頭がいっぱいの夫と、
成功した料理を褒めて欲しい妻と。
夫側の気持ちが分かった瞬間であった。


案の定家人は、付け足した修正の部分を理解しきれていなかった。
文書の主に確認すべきことを確認しないまま、渡してしまったのである。
ばかたりが!