娘の留学顛末 前編

二年次で行こうと思うと、一年のうちに審査に通らないといけない。
まずTOEFLなる試験で一定の点数をとらないといけない。
TOEFLには二種類あって、ほぼ毎月ある試験。
一回200ドル(当時)。自分で申込み、自力で会場に行く。
もうひとつはこの問題を元として大学で実施される試験。
一回4000円ぐらいだったか? だが2回か3回しかチャンスはない。


TOEFLは英検など、他の試験とは全く異なるものらしい。
「普通科で英会話の勉強も ホームステイどころか渡航経験もないのは
すごく不利。高校が英語科の子と同列なんてきつい。二年次は無理」
「留学に行きたいのはあんた。三年生じゃ私にメリットがない」


娘が二年次に留学するメリット。
① 海外実習が一回免除される。30万円浮く。
② 成人式に出なくていいので費用として10万~20万円浮く。
③ 息子の大学受験と重なる。私と息子の負担が減る。
以上が、3年生での留学では全く反映されないのである。


娘は黙って勉強に励んだ。そしてめでたく学内TOEFLで合格点を得た。
その点数に添えて、留学したい意志を日本語と英語で文章にする。
他にも何があったような気がするが、主なものは以上である。
認可される。


その先ふたつの選択肢がある。
学校が独自に協定している大学に留学する。
留学組織に参加している大学に自分で申し込む。


娘は自分で選びたいと言う。
大学を決め、履修したい教科と、志望動機などをまとめ提出する。
勿論英語で。10校まで選べるが、とりあえず5校に送る。
学校ごとに教科も文章も違う。
3番目か4番目に志望した学校に受け入れが決まった。


ビザの申請である。ピザを注文する程簡単ではない。
〇親等以外の人物2名の、当人の在住証明をする署名を求められたり。


費用の準備。
渡航費30万。寮費(ミールクーポン代込)60万。
授業料は大学に納めたものを充てるので、実質0円。


渡航費は上記海外実習費ととんとん。
寮費は娘が在宅した場合の、
食費光熱費交通費+娘の世話に要する私の時給でとんとん。


そして準備である。買い物である。
衣料品の資金は渡してあるにも関わらず、
「下着類は家計費だよね。キャミは下着?」などと交渉してくる。
買う買わないで迷っていると、面倒になって思わうず「買うたる」。
この分はマイナスになったな。


ああ。あと予防接種費。これも結構な金額と手間だった。


無事出発日を迎え、我が家は万歳三唱。
空港での見送りは彼氏(当時)に頼んだ。


息子は早速、娘の居室に移り「快適快適」。


その二日後の朝。電話が鳴った。
ほんと、我が家の電話はろくなことで鳴らねえ。
国際電話。
スカイプの設定はしていったが、パソコンの接続がまだらしく
コーディネーターが特別に電話を使わせてくれたらしい。


「おかあさん」 泣きべそ。「友だちが出来ない」
幼稚園児か! お前は!