化けるも努力

娘を連れて公園に行く。初めての親子に会う。
「何か月?」「お名前は?」という会話の前にいきなり、
「あらあ お父さんに似ちゃったのね」と言った。
……あなた この子の父親存じませんよね。
……「似たのね」ではなく「似ちゃった」ってああた。


娘と息子を連れて公園に行く。初めての親子に会う。
ベビーカーの息子を見て「二人目は女の子だったのね!」。
……いえ 男の子ですが。
……「一人目の」女児はこちらにおりますが。


娘を連れて小児科に行く。医師。「おう坊主 海行って来たか」
……カルテ見てください。それと海は行っていません。


娘小学生。家族で遊園地に行く。敷地内でボランティアさんが
木切れを使った工作を教えてくれると言う。娘と息子を預ける。
少し離れた日陰から様子を見ていた。
ボランティアさんが娘にひそひそ問う。「あの人誰?」
娘は答える。「おかあさん」
ボランティアさんは改めて私の方を見、娘を見て言った(らしい)。
「大丈夫。あなたもそのうちお母さんに似てくるよ」
……大丈夫ってなんですか。


そんな娘が大学に入り、おしゃれを覚えた。
別記事に書いたとおり、娘には姉の預金の一部を託した。
彼女はそれを無駄なく活用し、内外ともに自分を磨き上げたのだった。


マンション内の挨拶程度の顔見知りまでもが、
「お嬢さん きれいになったね!」「すっかり娘さんらしくなって」
「高校の時は体育会系だったのに……」などなど、会う度声を掛けてくる。


そして就職。高校教師となった彼女は、小柄・童顔ということもあって
女子生徒に「かわいい」と評価されるようになった。



娘が言った。「おかあさんに似て来たと思わない?」


へっ。
私は「美人」。あんたはせいぜい「かわいい」どまり。
なーんちってね。冗談よ冗談。


娘が褒められるとやっぱり嬉しいのであった。
てか安心するのであった。


娘を見ていると、努力で壁は打ち壊せるんだなあと思う。