やさぐれ美容師

美容院に行く。オーナー夫婦で経営している。
行ったら奥さんがいなかった。
「あ もう帰っちゃった?」と言ったら
「お嫁ちゃんの運転手」と応えた。


4月はばたばたしていて美容院に行ってないから知らんかったが
娘さんとお嫁ちゃんのお子さん(孫)が続けて保育園に入園した。
そのせいで(楽になるどころか)出番が増えているらしい。
「交替で熱出してる」とげんなりした顔で言う。
先々週も先週も休みは子守で潰れた と言う。


直近の休みも
奥さんがお出かけしているとお嫁ちゃんからの電話で
「自宅の鍵を持って出るの忘れた!」とのことで。
奥さんは急いで帰宅してお嫁ちゃんを家に迎えたらしい。
でもって夕食も食べさせ、迎えに寄った息子にも食べさせ
けれど急なことだからありものでの供応で
忙しいわ家族の分のおかずは足りなくなるわ。


「今日は うなぎを奢るんだ」と言う。
疲れたから精をつけるためと奥さんに楽をさせてあげるため。
それはいい と言ったら
「いつも臨時収入が入ると使われてしまう」とむすっと言った。


疲れてるなあと思った。
一応商売人だから態度には出さないけれど会話から窺える。


でもその段階ではただ「疲れてるな」だけだった。


自宅で反芻する。
久々の自由時間を満喫していた奥さんは呼び戻されて可哀そうだったな。
あれ? けどオーナーでもよかったわけじゃん。
在宅してお嫁ちゃんを家の中に入れてあげればいいだけだもの。
てことはいなかった? 臨時収入ってもしかしてパチンコとか?
パチンコに夢中になっていて役目を放棄したから
奥さんが慌てて帰ってくることになって、
あの奥さんなりにそれなりに不機嫌になったんじゃなかろうか。
結果せっかくの戦果を吐き出す羽目になった。
ストレスを発散したはずが新たなストレスの種となり。


ということかあ。
そりゃやさぐれるわ。


オーナーは賑やか好きでサービス精神旺盛で
奥さんはもてなし好きでマメで料理上手だから
子どもたちもついつい甘えちゃうんだろうけれど
奥さんだって働いているわけだし
奥さんがいないとオーナーの仕事も増えるし
そのうえ休みを潰されてちゃ、仏の顔も、になるよな。


旅行の話も切り出せず、ただ聞き役に徹し共感を示し。
お金を払って気を遣っている私ってなんだろう。


まあ髪はすっきりしたからいいんだけどさ。

(今回の)脳内バブルは終わった

株売って金塊分割して。
婚約指輪のサファイアとダイヤをリフォームしようとして
くそ高いブラウス買って(買った途端暑くなって着ていない)
そこそこ高いスカート買って(知らない間にシミつけて落ちない)
続けて一泊旅行。


そこでするりと何かが抜け落ちて
「やっぱ(アクセの)リフォームやめようかなあ」。
「なんでだ」
「だって20万だよ? 30万だよ? 新品買えるよ?
カジュアルに仕立てても本物は本物だから 服を選ぶだろうし
人間の方が負けそうだし」
「そんなこと考える必要ないだろ。自分がつけたければそれでいいだろ」
「だーかーら。よく考えたら つけたくもないんだな」


デザイナーさんと対面で相談するために予約したのだが
待っている間にやる気が消えてしまったのであった。
家人は「提案を聞くだけでも」と言うが
聞く前からやる気が失せているのだから無駄である。


自分の本心を分析してみたら
「せっかく貰ったのに活用しないともったいない」が中心にあって
それがいまや膨れ上がって責任感になっているのであった。
リフォームしたらしたで今度は
かけたお金に対しての責任で身に着けることとなり
果たしてそれが楽しいのかどうか。


これがまだ2万とか3万なら割り切れただろうが。
かつて300円のアクセで喜んでいた身としては
20万は重すぎる。


というわけで予約はキャンセル。指輪は再び奥深く仕舞われたのであった。


毎日見ていた株式チャートも
今はさっぱり開いていない。
資金はあるのだから買う株を探さないといかんのだが。


またいつかめぐってくるだろう。私の脳内バブル。

そんな「劇」あるかい

旅行+かたづけの疲れを引き摺ったまま
まごたちを預かる。
運転疲れの旦那は、そこに加えての腰痛で使い物にならず。


こちらでは、やりたい放題のちび達だが
基本的には「空気読み」なので引き際は心得ている。
それなりに過ごす。


おわりの方でまご女が「げきをやる」と言い出した。
発表会の頃ならば分かるが、どうしてまた急に? 何の劇?
「せりふをおしえるね」とまご女は言った。
「はい」 生徒になって返事をする。
「きょうはあたたかいから みんなであそびましょう」


「きのう あそんでたのしかったので あしたもあそぼう」
「なかよくしてくれて ありがとう」
「またよろしくおねがいします」


なんか引っかかる。


まご女はもともと人見知りが激しく
遊び相手も特定するタイプである。
年中にあがったが
年少の時に仲の良かった子はそのまま年少に残った。
(3歳になると同時に入園した子は年少を二回やることになる)


一人遊びが好きだから、別に遊び相手がいなくてもいいのだが
園や学校の先生はそういう生徒を放っておいてくれない。
娘の時にも散々悩まされた。


まご女は娘と違って変なプライドがある。
遊びたくない相手でも遊びたくなくても
「楽しいふり」をしなければならないと思うらしい。
園で演じているから「劇」なのか。
そんな劇見たくないしやりたくない。やらせたくもない。


「みんななかよく」
もうそういうのやめてくれないかなあ。
多様性の時代なんじゃないのか。

これはクセになる

また温泉いきました。一泊。今度は海。


コロナの間ずっと行けなかったし
10月に娘が職場復帰すると旅行も行きづらくなりそうで
かといって7・8月は暑さと家族連れが増えそうなのとで
「行くなら今でしょ!」とばかりに連休前駆け込みで。


家族旅行の頃 予算は一泊1万だった。
家人はまだそれを引き摺っているけれど
コロナと入院を経験した私は「金より時間だ」。
いつまた感染症が広がるとも限らない。
健康や健脚がいつまで約束されるかなんてわからない。
自由になる時間だってこの先どうなるか。


さすがに無制限とはいえないが3万までならいいじゃないか。


と開き直ってみたらば
2万ちょいで「露天風呂付客室」が見つかった。
料理はよくわからないが
海鮮なんてどこでも大差ない。
もし不完全燃焼したら二日目の昼を豪華にすればいい。


展望風呂・露天風呂に客室露天風呂が揃えば怖いものなしだ!
海岸近く。立地もよし。ここに決めた!


で?
料理はまあ 前回の宿には及びませんでしたが
朝ご飯はそこそこ美味しかったし。


それに私的には「海鮮は飽きる」。
山や川のように趣向を凝らすこともないし季節もあまりない。
海の宿は料理より景色優先でよくないか。


海の見える客室露天風呂は「かけ流し」。
浴槽から溢れる湯に身を浸す。
手間がないから5分だけ10分だけの入浴で構わない。
思いついたら風呂。暇になったら風呂。
展望風呂は最初に一回行っただけ(貸切状態だった)で
あとは部屋風呂に入ったり出たり。


ああ なんて贅沢。
こんな贅沢を知ってしまったら
大浴場だの貸切風呂だのちまちま通うなんてやってらんねえ。


かつて
入れるだけの風呂に入ることを歓びとしていたが
もうそんな体力気力ないわー


クセになりそう…
次からの宿探し大変だわ。

つぼみたち

葉っぱが枯れて落ちるだけで成長が感じられないから
もう抜いてしまおうかとさえ思った八房白鳥花。
ひとつだけつぼみがついた。


断崖の女王さま。やっと葉っぱが出てきたと思ったら

真ん中。葉っぱじゃないよね? いきなり花が咲くもの?


昨シーズン買った時のまま、夏を秋を冬を過ごした蒼角殿。
春を前に根元からちょんぎって
にょきにょき伸びて

この丸いの。つぼみだよね?



多肉初年度は花を求めていなかった。
でも今年は新しい経験もしたい。
そんな飼い主の気持ちを察したような鉢たち。


わくわく。