鼻が利く?
まごたちを預かった。
鉢の砂で遊んだことは一度あったが
植物たちにはあまり興味がないようだった。
多肉種だから変な形のものもあるのに
「これなに?」と訊かれたことはかつてない。
まご女が珍しく鉢を眺めている。
ひとつだけあるミントの鉢である。
「これなに?」「アップルミント」
ふーんと言ってなおも見ている。変哲ない葉っぱである。
よほど摘んで食べさせてやろうかと思ったが
他の鉢のものを食べたりしたら危ないので、やめた。
そのうち飽きて(諦めて?)まご女は遊び出した。
それにしても熱心に眺めていたなと思い
はっとする。本能で「食べられる」と察知したか。
それとも匂いか?
自宅で、娘が食卓に皿を並べ始めると
子どもたちは遊びを中断して食卓にかじりつく。
身を乗り出して皿の中身を覗き、匂いを嗅ぐ。
自分の皿に最接近できるまご女は
危ない遊びのように「すーはー」を繰り返す。
戦中戦後の子どものように
まごたちはいつもお腹を空かせている。
食べることばかり考えている。
遊びを投げ出して
ご飯の匂いを嗅ぎに行く子どもを、私は知らない。
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