協調性と星まわり

朝。息子来る。卵巻きを作って待つ。
ワンパターンと言われようが、
彼が望む手料理の中で作ることが出来るのは今これだけである。
餃子もミンチカツもあれもこれも絶対無理。


食べながら仕事の愚痴。
職場の人間関係。
「あっちもこっちも俺が取り持たないといけない」
「あんたはそういう星まわりだから仕方ないわ」


生まれつき、である。
そのために我が家に生まれたんだとすら思う。
彼はいかなる場所でも場合でも緩衝材。ぷちぷち。中和剤。
幼児期においてさえ、そうあることを他人からも求められていた。
遊びたい友だちに向かって一目散に駆けていくことすら非難される。
「どうして うちの子 誘ってくれなかったの!」
「ちゃんと うちの子 仲間にいれてあげてね」


小学校の教室では、問題児の間に座らされていた。
さすがに席替えの時「もう嫌です」と言ったらしいが。


採用試験などで行われる適性検査。
殆どの項目で平均(もしくは以下)の中で、
協調性だけが突出している。枠ぎりぎりである。


職場にひとり彼のような人間がいれば、上司はそりゃ楽だろう。
だが本人は、傍から見るより大変らしい。
睡眠障害と肌荒れ。体重まで増えちゃって。
けど親として言ってやれることは思いつかない。
せいぜいが玉子巻きを作ってやるぐらいである。


かつて私は、
娘の子育てに頑張っている私に、神さまがくれた贈り物だわ
と思っていた。
面談の教師に「ね! 楽な子でしょ! あれ生まれつきで私の躾じゃないから!」
と語っていた。


娘と息子の両方を担任した教師は「本当にきょうだいなんですか!」と叫び、
娘の部活の顧問は「お前の弟 よくまっとうに生きてられるな」と叫んだ。



息子の協調性は、先天的なものをベースに、姉に鍛えあげられたものかも、知れない。
いずれにしてもそういう星まわり。